フランスの指揮者マルク・ミンコフスキが19才で創設し、
共にオリジナル楽器で新たな挑戦を続ける
レ・ミュジシャン・デュ・ルーヴルの演奏会に行きました。
昨年末、クラシカ・ジャパンで放映された、
ヴェルサイユ乗馬アカデミーとのモーツァルト《レクイエム》の
見事な演奏と人馬一体となった素晴らしい演出に感動し、
大いに期待を膨らませて会場へ。
曲目は、ドイツロマン派、メンデルスゾーン作曲の3曲、
序曲《フィンガルの洞窟》、交響曲第4番《イタリア》、
交響曲第3番《スコットランド》。
これら3曲は、神童と云われたメンデルスゾーンが、
1829年、20才という若さでのイギリス/スコットランド旅行と
翌年のイタリア旅行中に曲想を得て作曲しています。
初めて見る土地の自然や生活を感性豊かに受け取ったのでしょう。
オーケストラのチューニングが始まります。
その弦のチューニング音の柔らかいこと。
このオーケストラの使用する古楽器/オリジナル楽器の効果なのでしょう、
そして指揮者のミンコフスキが登場。
まずは序曲『フィンガルの洞窟』
静かに始まりますが、素晴らしい音色。思わず引き込まれていきます。
やがて波や風の動きなど空気感を感じる演奏、
まるで風景画を曲にしたようでした。
弦だけでなく、管楽器も柔らかな、とても心地よい音色です。
曲が終了して拍手の嵐が止まない中、すぐに
2曲目の交響曲「イタリア」が始まりました。
明るく軽快で、これぞイタリア、と言わんばかりの
湧き立つような楽しい演奏でした。
高揚した気分冷めやらぬまま、20分の休憩、
再度ミンコフスキが登場し、観客に向かって話しかけます。
来場して頂いて、「アリガトウゴザイマス」。
そしてしばらく次の交響曲「スコットランド」について解説。
このような親しみを込めてサービスする指揮者は初めてでした。
最初はスコットランドの荒れ地を想わせる思索的な第一楽章、
しかし次第にテンポが速くなり、やがて体が踊り出すような躍動的なリズムに。
柔らかな、包み込むような音色は最後まで変わりません。
演奏が終わり、一呼吸おいて、会場は感動のブラボーの声と拍手の嵐。
汗びっしょりの指揮者は、何度もコールに応えてくれました。
素晴らしい演奏会で、迷うことなくファンになりました。
DATA
東京オペラシティコンサートホール:タケミツ・メモリアル
https://www.operacity.jp/concert/